第2話:野菜が育たない町に芽吹いた、希望の一歩

皆さん、こんにちは。

ここ東京では、厳しい寒さが終わり、春の陽気を感じる日々が続いていますが、 いかがお過ごしでしょうか。
今回は、モンゴル西部から届いた、「春の物語」をお届けします。

「野菜は育たない」と言われてきた町に、希望の芽が出た――そんな挑戦のストーリーです。

野菜が育たない町に芽吹いた、希望の一歩

モンゴル西部、バヤンウルギー県。ここは、標高が高く、風が強く、冬が長くて夏が短い――そんな過酷な気候の中で、人びとは長年「野菜は育たない」と信じていました。

しかし、ある春の日、ウルギー市の郊外に小さな温室が建ちました。それは、太陽の力だけで内部を暖かく保つ「パッシブソーラー温室」。電気も燃料も使わず、自然の力で野菜を育てる仕組みを備えた画期的な温室です。

この温室は、ADRAが住民と協力して進める「気候変動対応型・栄養に配慮した農業プロジェクト(CANSAP)」の一環として建設されました。

地元で農業に苦戦していたバグダウレットさん。農業経験が浅く、試行錯誤を繰り返しながら作物を育てていました。ですが、思うように収穫が上がらず、悩む日々が続きます。

そんな彼に転機が訪れました。ADRAの研修を受けて、自分の庭に温室を建てることにしたのです。

そして6月、彼の温室には、みずみずしいレタスとキュウリが並びました。

「まさか、自分の庭で野菜が育つなんて! 夢みたいです」

彼の収入は前年の2倍になりました。地元のレストランにも野菜を卸すようになり、家族の食卓も豊かになりました。妻もADRAの栄養研修に参加し、野菜たっぷりの料理を作るようになったそうです。

「こんなことができるのだと、自分でも驚いています」

と、バグダウレットさんは笑顔で話します。

皆さまのご支援が、食の安心をもたらし、バヤンウルギー県で気候変動に負けない新しい農家の挑戦を支えています 。

バグダウレットさんの妻も参加している、収穫した野菜を効率よく調理・消費するための栄養研修。
家庭や地域の栄養状態の向上に貢献しています。

気候変動対応型・栄養に配慮した農業プロジェクト(CANSAP)

バグダウレットさんが参加したCANSAPは、ADRAと地元住民が協力して2024年からモンゴル西部で始めたプロジェクトです。過酷な自然環境の中でも、限られた資源で効率よく農業を営めるよう、温室の建設から、農作業に関するさまざまな研修を行ってきました。 対象地域は、ウルギー市とその近郊に位置するブガット郡、サグサイ郡で、225の農家世帯、約1,035人の収入向上と栄養改善に貢献しています。さらに、地元農家を支援することで地域全体の農作物生産量が増加し、約5万人の住民の健康や栄養状態の向上にもつながりました。

対象地域のあるバヤンウルギー県は、モンゴルでもっとも厳しい暮らしを強いられる地域のひとつ。2021年の年間所得は1人あたりわずか130米ドル(月約11ドル=約1,600円)で、物価は全国平均より40~60%も高く、失業者も多くいます。土壌はやせており、寒暖差も激しく、夏は短く冬が長いため、野菜づくりはほとんど行われてきませんでした。

こうした過酷な環境だからこそ、農業は地域に希望をもたらす挑戦です。CANSAPは、地域の人々が自らの手で未来を切り拓くための一歩であり、一人ひとりの力が地域全体の活力につながる取り組みです。皆さまの温かいご支援により、この挑戦は着実に実を結んでいます。


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