
モンゴル西部バヤンウルギー県は、冬は氷点下40度、夏は乾燥が続く厳しい自然環境にあります。
こうした過酷な条件に加え、近年は気候変動による雨不足の影響も深刻で、農家は作物生産量の減少に直面してきました。その結果、収入の低下や栄養状態の悪化といった課題が生じていました。
このような状況を受けて、2024年からADRAは住民の方々と協力しながら、「気候変動対応型・栄養に配慮した農業プロジェクト(CANSAP)」を開始しました。これから5回にわたって、厳しい自然の中で未来を切り拓こうとする人々の歩みをお伝えします。
すべての温室が完成!
2025年6月、CANSAPは大きな節目を迎えました。
これまで、プロジェクトの要となる「パッシブソーラー温室」の建設に取り組んできました。この温室は、機械装置に頼らず、建物の断熱性・気密性を高めることで、太陽熱などの自然エネルギーを効率的に活用する、省エネルギーで持続性の高い温室です。 寒冷で厳しい気候条件の中でも利用できるこの太陽熱利用型温室の建設が完了し、合計49基の温室を設置することができました。

新しく導入された温室では、まだ肌寒い4月中旬から苗の育成が始まり、11月の晩秋まで収穫が続く見込みです。従来の温室に比べて、収穫量が既に最大で2倍になったという嬉しい声も届いています。寒さと水不足に負けず、地域の暮らしを支える力が、着実に育っています。

農家の意欲が、地域を動かす
温室づくりや野菜の栽培に積極的に取り組む農家の姿は、地域に希望と活力をもたらしています。
今年は雨が少なく、 厳しい条件が続いています。
それでも、限られた水を工夫して使いながら、農家たちは野菜の栽培をあきらめません。
プロジェクトチームも、灌漑や植物管理の方法を日々助言し、共に歩んでいます。

地域に根ざす、力強い一歩
このプロジェクトは、ウルギー、ブガット、サグサイの3地区に暮らす農家、225世帯の収入向上と栄養状態も改善に貢献しています。さらに、地元農家を支援することで地域全体の農作物生産量が増加し、約5万人の住民の栄養状態や健康状態の向上にもつながっています。
農業の力で栄養ある食事を家庭に届け、人々の健康を守り、地域が困難を乗り越えていく力を育む。厳しい環境の中でも、未来へ進む希望が芽吹いています。

今後に向けて
今後は、完成した温室で野菜が順調に育つよう、農家への訪問支援を続けます。
栽培のサポートに加え、野菜の加工や保存方法を学ぶ研修も予定しています。季節を越えて収穫を確保し、安定した収入につながるよう、支援を重ねていきます。
この取り組みは、地域の人々の暮らしを支えるだけでなく、持続可能な未来への一歩でもあります。未来を育むこの挑戦に、ぜひ皆さまのお力添えをお願いいたします。

