
ウクライナ駐在員の細見です。いつもADRAの活動を応援してくださり、ありがとうございます。
今回は、ウクライナで行っているメンタルヘルス・心理社会的支援(MHPSS)研修について、現地の参加者の声を交えながらお伝えします。
「ペイ・フォワード可能の王国」という映画で、人から助けを受けたら、施しをした人ではなく、別の三人に手を差し伸べるという考えが登場する。そうすることで、徐々に助け合いの輪が広がる理論だ。私はADRA Japanが実施しているMHPSS(メンタルヘルス心理社会サポート)研修の参加者からのフィードバックを読みながら、研修の活動はペイ・フォワードと近いように感じた。
私たちは、ウクライナの市役所職員や社会福祉士など、普段から市民との関わりが多い仕事をしている方たちに対して、心理ケアサポートの研修を行っている。家庭内暴力や障害者特有の困りごとなど、住民からのSOSに対して、彼らは、最初の窓口になりやすい。そのため、正しい知識と態度、専門家に適切に繋げられるように研修を提供している。
10回で1コースの研修には、10人の参加者が集う。それを10コース分行うことで、100人の職員が住民に寄り添った支援が実施できるようになる。さらに、やさしくされた市民の方々は、他の方に手を差し伸べるようになるかもしれない。そうして、やさしさの連鎖が広がっていけばいいなと思う。
研修に参加した一人の社会福祉士の女性は、このように語った。
「危機的状況では、助言を与えることではなく、そばにいて支えることが重要だと気づきました。研修を受けた後、(私の職場に)ある女性が来て、暴力をふるう方と長く生活していると言われました。私は、彼女を責めず『あなたにはあなたの事情があったのです。今重要なのは、あなたがここに来て支援を求めていることです』と声をかけてあげることができました」
私は、このフィードバックを読みながら、小さくも確実に支援の輪が広がり始めたことを実感した。

(文責:ウクライナ事業担当 細見 真菜)

