
私たちADRAは、支援者の皆さまのおかげで、ウクライナ危機発生直後から、ウクライナの方々に避難支援、物資支援、現金給付支援、越冬支援など、さまざまな支援を届けてきました。これらの活動については、これまで多くの写真を通して皆さまにご報告してきました。
しかし、写真ではなかなかお伝えできない支援もあります。それは、モノを通してではなく、ウクライナの方々の「心」を支える支援です。
ウクライナ危機がまもなく4年目を迎える今、多くの人々が疲弊し、家庭や職場での問題が深刻化しています。それに伴い、人々のメンタルヘルスの悪化も、ますます深刻な課題となっています。こうした状況の中、ADRA Japanは、より一層「心の支援」に力を入れ、臨床心理士によるオンラインカウンセリングを行っています。
支援を受けている方々は、障害を持つお子さんを育てる母親、不安障害に苦しむ男性、大切な家族を戦争で亡くした方など、さまざまな困難を抱えています。先日、ある方がカウンセリング支援を振り返り、次のように話してくれました。
「とても苦しかった当時、私にとって一番必要だったのは、ただそばにいてくれる人、話を聞いてくれる人でした。時間が経つにつれて、これらの心理カウンセリングは、物事を違う視点で見られるようにしてくれ、気持ちを落ち着かせ、自分の中により強い土台を築く助けとなりました」
この言葉を聞いたとき、私は自分自身の経験と重なりました。私は彼女のように戦争を経験したわけではありませんが、発達障害を持つ子どもを育てる母親として、カウンセリングを受けています。どうしていいのかわからず、一人で苦しんでいたとき、初めてのセッションでカウンセラーは、丁寧に私の話を聞いてくれました。それまで「自分一人の問題」だと思っていたことに、真摯に寄り添ってくれたのです。
そのセッションが終わった後、誰かにすべてを話せたこと、そして自分が抱えていたものを初めて理解してもらえたことで、それまでガチガチに固まっていた心が、一気に柔らかくなったのを感じ、自然と涙がこぼれました。
それからは、まさに彼女の言葉どおり、違う視点を持てるようになり、心を落ち着かせることができ、少しずつ自分の中に「強い土台」が築かれていくのを感じています。
ADRAのカウンセリングを受けている別の方は、こんなことを仰いました。
「人の苦しみは、同じ立場になってみないとわからないものだ」
その通りだと思います。私も、先ほどお話をしてくださった方を含め、ADRAの支援を受けている方々の本当の苦しみや思いを、完全に理解することはできません。
それでも、苦しいときに「話を聞いてくれる人がいる安心感」「寄り添ってくれる人がいる心強さ」が、どれほど大きな支えになるかはわかります。また、寄り添うだけでなく、困難を少しずつ自分でマネジメントしていくためのスキルや考え方を学ぶことが、長期的にどれほど大きな助けになるのかも、私は実感しています。
さらに、別の方は次のようにも話してくださいました。
「今、戦争のさなかにおいて、心の支援は絶対に必要です。頭上を飛ぶミサイルを恐れるべきなのか、それとも自分の人生が崩れていくことを恐れるべきなのか、もはやそれさえも分からなくなります。人々は疲れ果て、不安を抱え、押しつぶされそうになっています。それでも、多くの人が助けを必要としていることを口にできずにいます。実際に支援を受ける中で、私は、多くの人々にとってこのような心の支援がどれほど必要とされているかを強く実感しています」
これからウクライナでは、心の支援を必要とする人は、ますます増えていくでしょう。それでも、以前の私のように「自分自身の問題」と思い、口にできずにいる人も多くいると思います。そんな中、一人でも多くの方にそっと手を差し伸べられるよう、そして寄り添い、「強い土台を築く助け」となれるよう、ADRAは今後も活動を続けてまいります。
これらの活動は、皆さまからのご支援によって実現しています。
皆さまの温かいお気持ちに、心より感謝申し上げます。

執筆者:ウクライナ事業担当スタッフ

