
スロバキアに駐在して約1年半になります。
現在、ウクライナには日本政府による退避勧告が出されているため、日本人スタッフである私はウクライナ国内に入ることができません。そこで、隣国スロバキアから遠隔で事業の運営を行っています。
私が着任した最初の数か月は、決して楽なものではありませんでした。その一つの理由は、人との繋がりの欠如でした。
右も左も分からない異国の地に、私は日本人駐在員として一人で入りました。スロバキア人の同僚はいたものの、同じ事業を運営しているスタッフは事務所にはおらず、私が日々連絡を取るのは、パソコンの画面に映るウクライナ人と日本人スタッフのみでした。
人と対面して話すという機会がほとんどないまま、最初の一か月が過ぎた時、強い孤独感に襲われたのです。コロナ感染症による緊急事態宣言が発令された際、人との繋がりが減り、精神的な負荷を感じた人も多くいるでしょう。それと同じような感覚が、自分自身にも降りかかったのです。
ウクライナでも似たような状況が続いていると私たちは考えています。戦火による被害を受けないために、外出は最低限に抑え、人々はオンラインで仕事をし、オンラインで授業を受け、オンラインで友達や家族と会話をしています。同じ屋根の下に住む家族以外と対面で話す機会が減り、家庭内で起きる様々な悩みを「自分たちで解決しないと」とプレッシャーを抱え込んでいる方もいます。
いつ攻撃にあうか分からない不安と孤立の中で、彼らは様々なストレスや悩みを抱えながら生活をし続けているのです。
少しでも心の緊張を和らげられるように、私たちはオンラインでの心理ケア支援を行っています。安全性を第一に考え、対面での実施には至っていないですが、「ウクライナでの心理社会ケア活動~支援を受けた方々の声 」や、「ウクライナで続く困難な日々の中で」で紹介した方々のように、 悩みをカウンセラーに話し、同じ課題を抱えた者同士で共有できることで、重荷を軽減することに繋がると信じています。
ADRA Japanは、ウクライナで心の支えを必要としている方に、そっと寄り添えるよう、今後も支援を続けていきます。



