ウクライナで続く「心の支援」――地域を支える専門職員のためのトレーニング

ウクライナで戦争が長期化する中、人々が抱える心の負担や生活上の困難は、時間の経過とともに複雑になっています。

避難生活を続ける人、家族を失った人、障害のある人、戦争によって大きな変化を経験した人など、支援を必要とする人々がいる一方で、こうした方々の日々の生活を支えているのが、地域の社会福祉職員や心理職、医療関係者、自治体職員などの専門家です。

ADRAは、こうした地域の最前線で活動する専門家が、より適切な支援を届けられるよう、オンライントレーニングを通じた人材育成にも取り組んでいます。

地域を支える専門家向けオンライントレーニングの様子(2026年5月チェルニヒウ州)

トレーニングには、自治体や社会福祉サービス、医療機関、人道支援団体、地域に根ざした団体など、さまざまな立場で支援に携わる方々が参加しています。

参加者は、チェルニヒウ州、ムィコラーイウ州、ハルキウ州、スームィ州、ドニプロペトロウシク州、ドネツク州、キロヴォフラード州、チェルカースィ州など、ウクライナ各地から集まっています。

戦争が続く中、支援を必要とする人々の抱える課題は一つではありません。だからこそ、支える側一人ひとりが幅広い知識や実践的なスキルを身につけ、さまざまな機関が連携して支援することが重要になっています。

トレーニングでは、心理的応急処置をはじめ、ジェンダーに基づく暴力、性的搾取・虐待からの保護、バーンアウトの予防、障害のある人々への支援、喪失や悲しみとの向き合い方、危機的な状況におけるコミュニケーション、子どもの保護、支援における倫理や基本的な考え方など、幅広いテーマを扱っています。いずれも、地域で支援にあたる方々が日々直面している課題です。

また、知識を学ぶだけではなく、実際のケースをもとにした話し合いや演習も行われます。参加者は、それぞれが日々の仕事の中で経験している課題や事例を共有しながら、「このような場合には、どのように支援することができるのか」を一緒に考えます。

学んだことをその場で実践し、自分たちの現場に持ち帰ることができるよう、実践的な内容を大切にしています。

戦争が長期化するウクライナでは、人々の心の傷や生活上の困難がすぐに解消されるわけではありません。そのような中で、人々に寄り添い続ける地域の支援者の存在は、ますます重要になっています。

直接的な心理支援や保護支援を届けるだけでなく、地域で活動する専門家の知識やスキルを高めることは、より多くの人へ継続的に支援を届けるための土台となります。トレーニングを通して、異なる分野の参加者が知識や経験を共有することで、行政機関、社会福祉機関、市民団体、人道支援団体などの連携も深まっています。

一人の支援者が身につけた知識や経験は、その先にいる誰かの安心につながり、そして地域全体の支える力へとつながっていきます。ADRAはこれからも現地の方々とともに、人々が少しずつ前を向いて歩んでいけるよう支援を続けていきます。

この支援活動は、皆さまのご寄付と特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成によって実施しています。

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