見えない場所にいる人々に寄り添う支援を~レバノン路上で避難生活を送る家族~

中東情勢は、日に日に悪化しています。レバノンでは現在、100万人以上の方々が避難生活を余儀なくされています。親戚のもとに身を寄せることができた人もいれば、学校や公共施設の避難所で過ごす人もいます。しかし、100万人以上を受け入れる避難所を用意することは難しく、どこにも行き場がなく、路上での避難生活を強いられている人々も少なくありません。

ADRAは、3月初旬の空爆開始とともに首都ベイルート南郊外を離れた、5人家族と出会いました。彼らは現在、ベイルートの海岸近くで路上生活を続けています。もともとシリアの戦争から逃れてきた難民でしたが、安全を求めてたどり着いた避難先の国で、再び新たな危険にさらされ、また避難生活を送ることになってしまいました。

<悪天候の中でレバノン首都ベイルート海岸近くで路上生活をする人々 / 2026年3月26日撮影>

私たちの目に最初に留まったのは、シリアから来た家族の中でも、幼い少女の顔に残る無数の傷と痕でした。空爆による負傷ではないかと危惧しました。しかし、家族から語られたのは、別の現実でした。

突然の路上生活を強いられ、子どもたちは何もすることがない日々が続いています。学校も休校で行けず、日中を過ごす場所がありません。ある日、彼らがバイクに乗っていたところ、転倒してしまいました。運転をしていた少年は脚に深い傷を負い、少女は顔全体に痛々しい擦り傷を負ってしまったのです。何もかもが非日常の避難生活下では、通常であれば防げるはずの事故やけがも起こりやすく、負傷後の対応も容易ではありません。

私たちが家族に声をかけたとき、返ってきたのはとても切実でシンプルな願いでした。

「水はありますか?飲むためだけでなく、子どもたちの傷を洗うために水が必要なんです。」

<ベイルート海岸近く、怪我をした少年に手当てをする/ 2026年3月26日撮影>

ADRAスタッフは、すぐに水を提供し、子どもたちの手当てを行いました。また、毛布や生活必需品など、今後の支援につなげるための登録をしました。

この家族の話は、決して特別な内容ではなく、残念なことにレバノンで起きる戦争による悲劇のうちの一つとなっています。避難生活が始まってから、まもなく1ヶ月が経ちます。長期化する中で、住む場所を持たない家族ほど支援の網からこぼれ落ちてしまいがちです。

路上生活を続ける人々のもとへ足を運び、状況を見て、話を聞く中で、この家族に出会い、必要な支援を届けることができました。人々のもとを回れば回るほど、忘れてはならない存在が、まだまだたくさんいることに気づかされます。

<ベイルート海岸近くで路上生活をする家族に支援物資を提供 / 2026年3月26日撮影>
<ベイルート海岸近くでテント生活をする家族 / 2026年3月26日撮影>

ADRAはこれまでに、レバノンで避難生活を送る700以上の世帯に対し、水、衛生用品、尊厳キット、マットレス、枕、毛布などの生活に必要な物資を届けてきました。

<マウントレバノンの避難所で枕、マットレス、毛布の提供 /2026年3月19日撮影>

皆さまの温かいご支援により、こうした一つひとつの支援を届けることができています。

ADRAは、今後も最も困難な状況にある人々に寄り添い、誰一人取り残されることのないよう、支援を続けてまいります。

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