
戦争が続くウクライナでは、多くの人々が、絶え間ない不安やストレス、大切な人や住まいを失う悲しみ、先の見えない生活への心配を抱えながら暮らしています。日々の生活を送るだけでも大きな負担がかかる中、心の健康を守り、安心して気持ちを話せる場を持つことは、今、とても重要です。
しかし、心に大きな負担を抱えていても、専門家の不足や、危険が続く地域では支援を受ける場所へのアクセスが難しいことなどから、誰もが専門家のサポートを受けられるわけではありません。
ADRAは、支援者の皆さまからお寄せいただいた寄付を活用し、外出が難しい地域に暮らす人々もリモートで心理的サポートを受けられるよう、専門家によるオンラインカウンセリングを提供しています。
つらい気持ちを言葉にし、自分自身と向き合い、少しずつ前を向くための時間を持てるよう、一人ひとりに寄り添った支援を届けています。
今回は、ADRAの心理カウンセリングを受けたセルヒーさんにお話を伺いました。
当初はカウンセリングの効果をあまり信じていなかったというセルヒーさん。支援を受ける中で、どのような気づきや変化があったのでしょうか。その言葉をご紹介します。
Q. 心理的サポートを受ける前は、どのような状況でしたか?
セルヒーさん:
当時は睡眠の状態がとても悪く、心配事もたくさん抱えていました。心の中が嵐のように荒れていて、人と話すこともつらく、職場でも人との交流を避けるようになっていました。
さまざまなものを失い、状況が絶えず変化する中で、いつかまたすべてを手放し、別の場所に移って新しい生活を始めなければならないのではないか、と考えることもありました。
Q. カウンセリングを受けようと思ったきっかけは何でしたか?
セルヒーさん:
正直に言うと、最初は心理カウンセリングが本当に役に立つのか、あまり信じていませんでした。
でも、無料で受けられると知り、「もしかしたら効果があるかもしれない。試してみても失うものはない」と思い、申し込むことにしました。
Q. 実際にカウンセリングを受けてみて、いかがでしたか?
セルヒーさん:
とても助かりました。全部で6回のカウンセリングを受けたのですが、担当してくださったアリョーナさんには、本当に感謝しています。
最初のうちは、どのような効果があるのか、よく分かりませんでした。でも、彼女が私の考え方や心の中で起きていることを理解できるよう、丁寧に導いてくれました。
特に大きかったのは、自分の内面で何が起きているのか、そして自分が何と闘っているのかを理解できたことです。
Q. カウンセリングを通じて、どのような変化がありましたか?
セルヒーさん:
自分の答えを、自分の外側ではなく、内側に探していくということを学びました。こんな経験は、人生で初めてでした。
カウンセリングを受けて、心の中が少し楽になりました。まだ心に残っているものはありますし、状況がすべて解決したわけではありません。それでも、何かがふっと軽くなったように感じています。
また、今振り返ると、当時思っていたほど状況は悪くなかったのだと気づきました。以前は人と関わることも難しく感じていましたが、今は人生の中にある前向きな面にも目を向け、人に対してもっと心を開けるようになりました。
Q. 心理的サポートについて、今、どのように感じていますか?
セルヒーさん:
私は、心理的サポートはすべての人に必要なものだと思います。
多くの人は、何か問題を抱えている人だけが心理的サポートを必要としていると考えています。でも、そうではありません。つらいときだけでなく、物事が順調なときにも、心の支えは必要なのだと思います。
今回、無料でカウンセリングを受け、自分にとってどのようなものなのかを試す機会があったことは、私にとって本当に大きな意味がありました。
専門家と話し、自分自身の答えを見つける機会をいただけたことに、心から感謝しています。

心の支えがあることを、一人でも多くの人に
インタビューの最後に、セルヒーさんは、支援を届ける人々への感謝を語ってくれました。
「このような支援をしてくれる人たちがいることは、本当に素晴らしく、うれしいことです。この世界も、すべてが悪いわけではないのだと信じたくなります。」
セルヒーさんは、まだすべての問題が解決したわけではないと語りながらも、カウンセリングを通じて心の負担が軽くなり、自分自身と向き合うきっかけを得ることができました。
心理的サポートは、すべての悩みを一度に解決するものではありません。それでも、安心して気持ちを話し、自分の内面を理解し、これからの生活に向き合うための力を得ることにつながります。
ウクライナで困難な状況に置かれている人々が、必要なときに心の支えを得られるように。
ADRAは、支援者の皆さまからお寄せいただいた寄付を大切に活用し、一人ひとりに寄り添う支援を続けていきます。皆さまの温かいご支援に、心より感謝申し上げます。
本事業は、(特活)ジャパン・プラットフォームの助成金と、皆さまからの温かいご支援により支えられています。
