【能登半島地震第26報】輪島市での農業を諦めない

皆さん、こんにちは。

突然ですが、奥能登地域を含む石川県の4市5町は2011年に世界農業遺産に登録され、農業を中心とした地域産業の振興に尽力してきたことをご存じでしょうか。世界農業遺産は、2002年、食料の安定確保を目指す国際組織「国際連合食糧農業機関」(FAO、本部:イタリア・ローマ)によって開始されたプロジェクトです。

震災以前の白米千枚田の風景

その素晴らしい農地も、2024年元日に発生した能登半島地震および9月21日の奥能登豪雨災害により、甚大な被害を受けました。農地のひび割れ、土砂崩れ、農業施設や水路の破壊が相次ぎ、地域農業の存続そのものが危ぶまれました。水田の状況だけを見ても事態は深刻でした。2023年には奥能登地域で2,800ヘクタールの水田が作付けされましたが、2024年は震災の影響で1,800ヘクタールに縮小。さらに、9月の豪雨による河川氾濫で約950ヘクタールが冠水し、そのうち約400ヘクタールでは土砂や流木の堆積が発生しました。

町野町の様子。震災から1年以上が経過した2025年3月の様子

ADRAが初めて輪島市町野町を訪れたのは2024年10月。厳しい状況の中でも、地域の担い手たちは再建に向けた努力を続けていました。しかし、被害の甚大さから、とても地元の方々だけでは手が回るはずもなく、多くのボランティアの力が必要とされていました。実際、ボランティアの方は来てくれていましたが、近隣に滞在する宿泊施設が極めて少なく、石川県内からのボランティアでも短時間作業をして自宅へ帰らなければいけなかったり、遠方からのボランティアも宿泊のために活動場所からかなり離れた宿に泊まり、翌日のボランティアのために早朝に起床しなければならないなど、復旧や復興の活動環境が整っていないことが大きな課題となっていました。

そこで、ADRAでは日本モバイル建築協会様と協力し、ボランティアの方々が宿泊できるモバイル建築ユニットを7棟設置。「ボランティアベース町野」として2025年7月にオープンしました。これにより、約30名のボランティアの方々が滞在しながら農業復興や災害復旧に取り組むことができます。2025年9月末までに延べ253名の方が利用しています。

利用された方からは、

「部屋も綺麗で、マットなども置いてくれていたのですぐに生活できるのが良かったです」

「次の日の活動も入れていた中で、日帰りで帰ってまた来るというよりも近くに宿泊させていただいて、次の日の朝もゆっくり起きて活動に向かえたので、ありがたかったし助かりました」

などの声が聞かれました。

また、ボランティアの方を受入れた農家さんのおひとりは、

「長期にわたってお手伝いをお願いするにあたり、ボランティアさんが体を休める場所が圧倒的に足りなかった。休める場所があると、長期にわたって入ろうかな、数日間滞在しようかな、と考えるが、1日だけの活動になると、数時間しか現地に留まることができない。滞在空間が必要だということをしきりに訴えてきて、それに応えてくれたのがADRAさんだった」

とお話されています。そして、

「もう自分たちが諦めようかって時に、支えてくれたボランティアさんがいてくれたおかげで、この人たちが手伝ってくれた努力を無にしたらいけない。ボランティアさんの気持ちに応える責任があると思っています」

と、優しくも決心と覚悟が感じられる眼差しでお話してくださいました。

昨年夏には地元の方とボランティアの方々が一緒にバーベキューをして親睦を深めることもできました。美味しいご飯を食べながらだとこれからの輪島、能登の未来に向けての話も自然と弾みます。

バーベキューにはたくさんの参加者

施設は輪島市に寄贈され、引き続き農業復興などのために使用されます。輪島市を含む奥能登地域の農業が復活し、さらに盛り上がっていくことを心から応援しています。

(執筆:国内事業課)

本事業は、ジャパンプラットフォームの助成を受けて実施しています(2025年4月1日から2025年9月30日)

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