
いつも温かいご支援をありがとうございます。
ADRA Japanは、昨年に引き続き七尾市、穴水町、輪島市などで活動を継続しております。今回は、発災から一番長くお付き合いをさせていただいている石川県七尾市和倉地区からのご報告です。

間もなく3月を迎えようかとしている頃、1か月ぶりに和倉地区を訪れました。東京と比べると幾分か冷たい風は吹いていますが、正午の日差しからは徐々に春の兆しを感じさせます。冬季特有の曇り空は減り、青空を拝む機会が増えてきました。
先日は、和倉地区コミュニティセンターにて、「能登半島地震における和倉地区での支援活動について」というテーマで講演会の時間を設けていただき、この2年間を地域の皆さまと一緒に振り返りました。コミュニティセンターを良く利用する見慣れた参加者の顔に、思わずホッと胸を撫で下ろします。

まだコミュニティセンターが避難所であった頃、ADRAは災害支援バス「ゆあしす号」を活用して、カフェや足湯を実施していました。ゆあしす号という名前の由来は、2015年に公募をしていただいた案の中から選ばれたものです。
「サロンや足湯などもあり、このバスの周りに人が集まり、まるでオアシスのように感じました。みんなの、あなたのオアシスですよ、あなたのオアシスになりたい、という意味をこめて、Yourとオアシスをあわせ、ゆあしすと名付けました」という願いがこめられています。
2015年に完成して以来、東日本大震災を始め、様々な場所でその想いを胸に活躍しています。能登半島でも七尾市や穴水町で、避難所や給水所、仮設団地などで多くの方にホッとできる場の提供を目指し、ゆあしす号と私たちは活動していました。
今回の講演では、ただ過去を振り返るだけではなく、いままでカフェや足湯で伺ったお声をもとに、和倉地区の住民はどのような悩みを持っていたのか、その他の地域と比較してどのような特徴があるのか、についてお話しました。
能登半島でも有数の観光地である和倉温泉。その地域にお住まいの方は、観光業と密接に生活が結びついており、旅館や観光施設、飲食店が営業できないことにより職を失った方が相当数いらっしゃいます。そのため、他の地域と比較して、仕事や経済に関する話が多いのが特徴でした。しかし、足湯やカフェでのお声を分析すると、ご自身の生活よりも町の復興を願う声がとても多く、地元愛が強い地域なのだと感じます。ADRAとしても、能登半島地震でのサロン活動を振り返る良い学びの機会でした。この度は、和倉地区地域づくり協議会様によって、この様な機会をいただき感謝申し上げます。

和倉温泉街を歩くと、建物を解体する重機の音が遠くから響いてきます。町の中にいくつかある空き地。恐らく以前は、旅館や住宅があったのでしょう。こげ茶色に縁どられた長方形には、こぶし大のコンクリート片が転がり、春の訪れに備えてカタバミが花を咲かせる準備をしています。潮風に靡くその姿に、私はどこか哀愁を感じてしまうのです。

現在の和倉温泉は、観光客でも宿泊がしやすくなりました。以前は工事業者の方で宿の予約が一杯でしたが、数日前であればまだ部屋に空きがある旅館がいくつかあります。地元の名産品を使った飲食店や観光施設も営業している店舗が増えています。そして、何といっても北陸地方でも有数の温泉があります。地元の人々は再び和倉温泉を、能登に暮らす人・働く人・訪れる人、全てが幸せになれる場所に再生しようと必死になって取り組んでいます。
復興の邪魔にならないようにと、訪問を自粛していた方も多いと思います。しかし、それは過去の話です。能登半島の中間地点に位置し、奥能登と口能登を結ぶこの地。能登島を一望する海、体も心も安らぐ温泉、力強さのある祭りもあります。4月も中頃に入ると能登半島も桜のシーズンを迎えます。淡紅色の花びらが彩りを添える頃に、ぜひこの地を訪れてみてはいかがでしょうか。
和倉地区の一日も早い復興を願って。
(執筆:国内事業課 三牧)

