
残暑厳しい日が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今年の夏は、統計開始以来最も暑い6・7月となりました。観測史上初となる40度以上を測定した地域もあり、歴代の猛暑日ランキング1位から4位までを一気に塗り替えています。8月には記録的な大雨により、北陸・九州を始めとする日本各地で集中豪雨による水害や土砂災害などが発生しており、大きな被害をもたらしています。
異常気象とも言える2025年ですが、立秋をとうに過ぎてもまだまだ秋の訪れは感じさせません。まだまだ出水期が収まる気配はなく、油断のできない日々が続いております。

さて、今年も既に半分が過ぎ、瞬く間に9月を迎えましたが、本日9月1日は「防災の日」です。
災害大国の日本では、毎年9月1日に津波や地震などの災害に対して認識を深めるだけではなく、未然に被害を防ぐために備える行動を啓発する日です。防災の日を含む、8月30日~9月5日は、防災週間でもあります。この期間は、様々な団体が各地で防災減災に関するイベントを行っております。お時間がございましたら、ぜひ地元のイベントに参加されてみてはいかがでしょうか。

皆さまは、“防災減災”と聞いた時、何を思い浮かべますか。
ハザードマップや避難所の確認、ご自宅の備蓄やご家族との連絡方法を事前に決めておく等、少しでも災害の被害を少なくするために、多種多様な行動が当てはまります。今回は、その中でも取り組みやすい“備蓄”について、能登半島地震を例にしてお話いたします。
2024年1月1日、能登地方を震源とするM7.6の地震により、多くの人的被害や住家被害が発生しました。ライフラインにも影響を与え、停電の他、長期間の断水や道路の崩落といった被害があり、生活を送るうえで、多くの住民が困難を強いられていました。
ADRA Japanは、初動対応として避難所で物資支援を行い、その後も移動カフェや足湯を展開していきました。多くの住民と会話する中で、皆さまが口々に仰っていたのは、“トイレ”の重要性です。
備蓄というと、どうしても食料に目が行ってしまいがちで、トイレの備蓄をしている方は決して多くありません。もちろん、食料の備蓄も大事です。しかし、今回の地震の様に、断水が長引くと自宅のトイレが自由に使用できず、どうしても我慢をしなければならない場面が出てきます。郊外にお住まいだった方は、ご自宅の庭で処理をしていたそうです。庭があれば応急的に凌ぐ事はできますが、都市部にお住まいの方は……。もし、発災した時期が夏だったら……。臭いだけではなく、衛生環境も悪化してしまいます。実際に、とあるパーキングエリアでは、水の流れないトイレに汚物が山の様に積みあがっていました。平時からの備えの必要性を実感します。

“トイレ”以外にも、少し変わり種では、“通信手段”の備蓄もできます。能登半島の付け根から奥に進めば進むほど、発災当時は携帯が繋がりにくくなっていました。そんな時に、役立つのが衛星通信です。少し前までの衛星通信サービスは大変高価で、中々入手が難しかったのですが、現在では比較的安価に利用する事ができるサービスが生まれています。能登半島では、多くの避難所に衛星通信機器が配備され、住民の皆さまが情報収集やご家族やご友人との連絡手段に活用されていました。キャンプやアウトドアが好きな方は、この機器があれば、スマホの電波が入らない山や海で映画を楽しむこともできます。趣味にも災害時にも活用できるアイテムとして、この機会にぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

備蓄に正解はありません。人によって必要な物は違うからです。今回例に上げた物は、あくまでも備蓄の一例です。オムツや粉ミルクが必要な方、お薬が必要な方、心を落ち着かせるために本が必要な方もいるかもしれません。どの備蓄も決して間違いではないのです。自分に合った備えを、平時から一緒に考えていきましょう。
9月1日は、防災の日。
この機会に、ご自宅の備蓄を見直してみませんか。
ADRA Japanでは、防災減災セミナーの講師派遣などを行っております。ご興味のある方は、ADRA事務局までご連絡ください。
(執筆:国内事業課)

