
ミャンマー・シャン州南部では、国内紛争による治安の悪化を受け、多くの家族が故郷を離れ、避難生活を余儀なくされています。
突然の避難により、人々は着のみ着のまま家を離れなければなりませんでした。持ち出せたのはわずかな荷物だけ。避難先での生活が始まっても、十分な食料はもちろん、衣類や履物、衛生用品など、日常生活に欠かせない物資が不足していました。
さらに、避難先となっている村の中には、行き来が困難な場所も少なくありません。道路の整備が十分でないうえ、軍の厳しい検問による通行規制などから、必要とされる人道支援が届いていません。
こうした状況を受け、ADRAは2025年末から2026年4月にかけて、シャン州南部の10か所の村で緊急人道支援を実施しました。支援の対象となったのは336世帯(1,162人)です。
活動期間中は、軍による車両の通行規制や物資の流通制限が一段と厳しくなったほか、陸送費の高騰など、さまざまな課題に直面しました。しかし、安全を最優先にしながら、ボート輸送などの代替手段も活用し、一つひとつの村へ必要な支援物資を届けることができました。
配付した物資には、食料だけでなく、衣類やサンダル、衛生用品などの生活必需品も含まれています。避難生活を始めたばかりの家族にとって、こうした物資は単なる「モノ」ではありません。失われた日常を少しずつ取り戻し、生活を再建するための貴重な財産であり、人々に安心感をもたらす大切な支えでもあります。
また、物資を届けるだけではなく、心身の健康を回復・維持するための取り組みにも力を入れました。
人々が避難生活を送っている各村から2名ずつを選定し、合計20名を健康推進員として育成しました。健康推進員たちは、衛生管理の重要性やジェンダーに基づく暴力の予防、そして避難生活で大きな課題となる心の健康を守るための心理社会的支援について、地域住民に対して啓発講習会を行う重要な役割を担います。
避難している人々と、彼らを受け入れている地域住民は、水場やトイレなど限られた社会インフラを共有しながら生活しています。そのため、避難民と受け入れ地域の住民が、啓発講習会などで地域の清潔・衛生を保つ方法や、ストレスを溜めずに平和に生活していく方法を共に学びました。
人々が穏やかに暮らし、お互いが支え合う環境を築くお手伝いをすることも、長期化する避難生活では欠かせない支援です。共に助け合いながら、地域全体として将来の災害や危機に備える対応力を高めることにもつながっています。
今回の活動は、地域住民の皆さんの協力なくして実現することはできませんでした。
困難な状況でも、互いに声を掛け合い、支え合いながら前を向いて歩もうとする姿が、さまざまな場面で見られました。その姿は、支援を届ける私たちにとっても大きな励みとなりました。
ADRAはこれからも、支援を必要とする人々に寄り添いながら、一人ひとりが希望と尊厳を持って暮らせる未来を目指して活動を続けていきます。
