
2025年11月下旬、インドネシアとスリランカを襲った強力な2つのサイクロン。ADRAは、両国において被害が大きい地域にスタッフを派遣し、政府や自治体と連携し命をつなぐ支援を届けました。
スリランカ
スリランカでは、全国25県すべてで大規模な洪水が起こり、土砂災害、および社会・経済活動への深刻な混乱が発生しました。
このサイクロンは主要農業シーズンの最中に襲来し、水田や野菜畑に甚大な被害をもたらしました。また、灌漑システムも深刻な被害を受け、多くの農家世帯が安定した収入源を失いました。
ADRAは、支援の重複を避けるとともに優先ニーズを確認するため、被災地域の災害管理センター(DMC)、県事務所および郡事務所と連携して対応を進めました。
食糧支援
12月2日および3日には、アヌラーダプラ県およびヌワラエリヤ県においてニーズ調査を実施し、食料パック配付に向けた準備を迅速に進めました。
食料パックは、4人家族が14日間に必要とする食料を確保できるよう、1人あたり1日2,100kcalと必要なたんぱく質摂取量を満たす栄養基準に基づいて構成されました。受益者からは「子どもや高齢者の栄養を補うために粉ミルクを含めてほしい」との要望が多く寄せられました。粉ミルクはスリランカで日常的に消費される食品であり、栄養価が高いだけでなく、被災者に安心感をもたらすことも期待されるため、食料パックに組み込みました。


食料キットは予定していた数を上回る321キットをお届けすることができました。配付後のモニタリング調査では、アヌラーダプラ県では86%、ヌワラエリヤ県では81%の受益者が災害発生後2週間以内に支援を受け取ることができたと回答しており、迅速かつ効果的な緊急食料支援を実施することができました。
インドネシア
インドネシアでは、北スマトラ州のシボルガ市および中央タパヌリ県で大規模な鉄砲水が発生し、多くの住宅が被災しました。ADRAは地元団体とも協力し、被災者の命と生活を守るため、迅速な緊急支援を実施しました。
避難所では、栄養価のある温かい食事を提供するため、コミュニティ・キッチンを設置した他、看護師を派遣しての健康チェックや子どもたちへの心理的応急支援を行い、体調不良の早期発見や、継続的な医療支援が必要な人々への適切な対応につなげました。
また、土砂に埋もれた住宅の再建と地域の復旧能力強化を目的として、住民向け研修と、設作業員や技術チームへの実践的な研修を兼ねた耐災害改修を実施しました。
住民向けの研修
2か所で合計8回実施し、住民300名が参加しました。研修では動画教材を活用し、床タイル、壁の塗装、ドア枠などの表面的な損傷と、基礎のひび割れや壁の分離、柱の変位などの構造的な損傷との違いについて、住宅所有者や地域の建設技術者に分かりやすく説明しました。また、災害に強い住宅づくりにつながる基本的な補強工法についても紹介し、参加者は被災住宅の危険箇所の見分け方や安全な修復方法を学ぶことができました。


人材育成を兼ねた住宅2棟の改修
シパンゲ村で2棟の被災者住宅をモデルケースとして選定し、地元建設作業員と技術チームへの研修を兼ねた耐災害改修を実施しました。これにより、まず、脆弱な状況にある2世帯へ直接的な住宅修復支援を提供することができ、また、地域の建設業者や技術者は、耐災害住宅の改修技術を実地で学ぶことができました。
2棟の住宅は7月に改修工事を完了しました。技術者たちは実際の施工事例を通じて、耐災害改修の手法を学び、今後の住宅修復に活用できる知識と技術を習得しました。


今後は100世帯を対象とした住宅修復・耐震補強を計画しており、すでにシボルガ市では、25世帯を対象として選定し改修工事を進めています。
皆さまからの温かいご支援により、こうした取り組みを進めることができました。スリランカでの活動は終了しましたが、インドネシアでの住宅支援は継続中です。今後も、被災された方々が安心して暮らしを再建できるよう、支援を続けてまいります。

