
ミャンマーでは紛争の長期化により、多くの人々が住み慣れた家を離れ、避難生活を余儀なくされています。
今回、ADRA Japanはシャン州南部の避難民コミュニティで、食料、衛生用品の配付に加え、衛生講習、精神保健・心理社会的支援(MHPSS )、ジェンダーに基づく暴力(GBV)に関する講習会を実施しました。
次の食事を心配しなくてよくなった
21歳の母親、モウさんは、空爆から逃れるため家族とともに避難生活を続けています。
「空爆が起きた時、私は妊娠中でした。夫と二人で逃げる途中、家族とも離ればなれになってしまいました。家財道具も何も残っていません」
今回の支援で受け取った米、油、塩、豆類は約2か月分の食料となり、食費に対する不安を大きく和らげてくれました。
「次の食事のことを心配しなくてすみ、本当に安心しています。限られたお金を食費に使わなくてよくなり、将来のために少しでも残しておくことができます」
同様の声は多くの裨益者から聞かれました。支援された食料は世帯によって1~2か月程度もち、その間は食料不足への不安から解放されたといいます。

子どもの教育や医療にお金を使えるようになった
44歳のキンさんは、こう話してくれました。
「食料を買うのに使う予定だったお金を子どもの学費やおやつ代に充てることができました。食費を工面できないストレスもなくなりました」

35歳のウィンさんも、基本的な食料を受け取れた分で浮いたお金を、医療費や栄養価の高い食品の購入に活用しています。
「卵や干し魚、魚の缶詰などを買うことができました。少しですが将来のために貯金もできました」と話してくれました。

何も持たずに逃げてきた私たちにとって大切な支援
避難生活の中では、食料だけでなく日用品も不足しています。配付した衛生用品キットには、毛布、蚊帳、石鹸、シャンプー、タオル、サンダル、ロンジー(伝統衣装の巻きスカート)などが含まれています。
ミャーさんはこう話します。
「正直なところ、空爆のせいで家財道具は何も残っていません。毛布も蚊帳も爪切りも持っていませんでした。この品々は今の私たちには大変ありがたいです」
また、支援を受け取った方の多くは、サンダルや衣類を特に重宝していると言います。避難生活では、こうした日用品でさえ十分に確保できない状況が続いています。
学んだことを家族にも伝えている
物資配付とあわせて実施した衛生講習会では、「4つの清潔(食べ物・環境・トイレ・水)」や正しい手洗いの方法について学びました。
参加者の多くは内容をよく理解し、家族や子どもたちに伝えています。
「水を安全に飲む方法や、正しい手洗いの方法を学びました。家族や子どもたちにも教えています」
「ボランティアの方が歌や実演を交えながら説明してくれたので、とても分かりやすかったです」
学んだ知識が家庭内で共有されることで、衛生習慣の改善が地域全体へと広がっています。
ストレスへの向き合い方を知ることができた
避難生活の長期化は、人々の心にも大きな影響を与えています。
精神保健・心理社会的支援の講習会では、ストレスへの対処法やセルフケアについて学びました。
「家も仕事も失いました。この講習でストレスへの向き合い方や、眠れるようになる方法を学ぶことができました」
参加者の中には、深呼吸や瞑想、音楽鑑賞、お祈りなどを日常生活に取り入れ始めた人もいます。
59歳のレイさんは、「以前はストレスがたまると葉巻をたくさん吸っていましたが、今では毎晩瞑想をしています。おかげでよく眠れるようになりました」と話してくれました。
また、近隣住民の話に耳を傾けたり、互いに支え合ったりする行動も見られ、コミュニティのつながりも深まっています。

困ったときに相談できることを知った
ジェンダーに基づく暴力(GBV)に関する講習会では、暴力の種類や相談先について学びました。参加者からは、
「身体的、性的、精神的、経済的など、暴力といっても様々なものがあることが分かりました」
「もし何かあったとき、健康推進員やパンフレットに書かれた相談先へ連絡できることを知りました」といった声が聞かれました。
暴力を受けた時や目撃した時に、どこへ相談すればよいかを知ることは、避難生活の中で安心して暮らすために重要な一歩です。
今回の支援を通して、「明日の食事はどうしよう」という不安を和らげるだけでなく、「自分や家族を守る方法がある」「困ったときには相談できる人がいる」という安心感をコミュニティにもたらすことができました。ご支援いただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。
ADRA Japanはこれからも、厳しい状況の中で暮らす人々が少しでも安心して生活できるよう支援を続けてます。
