妊婦さんと少女たちへ鉄・葉酸（IFA）サプリメントの緊急配付

バルディヤ郡において、生殖年齢の女性・思春期の少女にとって必要不可欠な鉄・葉酸（IFA）サプリメントが在庫切れに陥る中、2025年7月4日にバルディヤ郡保健局に100万錠のIFAサプリメントを引き渡すことができました。

当時、郡内８つの自治体のうち、3自治体でIFAサプリメントは底をついており、残り5自治体も、いつ在庫が尽きてもおかしくない、ひっ迫した状況にありました。このままでは、バルディヤ郡の2,000人以上の妊婦と少女の栄養状態に影響が出てしまいます。早急に対策を講じなければ、貧血、分娩時の合併症、低出生体重など、母体と新生児の深刻な健康合併症のリスクが高まることが容易に想像できました。

ADRAとしても、現在、同地域で取り組んでいる活動と深く関連する現地のニーズを耳にし、緊急でIFAサプリメントの供給を実施することを5月末に決定しました。未来の命にもつながる女性の体を守るために必要な栄養を、1日も早くこの地域へ届けたいと、タブレットの調達から配付まで約1ヵ月間、スタッフは一丸となって奔走しました。

ネパールでのIFAサプリメントは、下記のような摂取が推奨されています。

・10～19歳までの思春期の少女：1錠/週×52週間/年摂取
・妊産婦：妊娠中に1錠/1日（180日分）、産後に1錠/1日（90日分）＝合計270錠

今回配付できたIFAサプリメントは、思春期の少女19,230人の1年分、もしくは、妊産婦3,703人に必要な数に相当します。

この時の様子は、現地のオンラインニュースにも取り上げられました。

バルディヤ郡8自治体でこの支援を受け取った方々から、嬉しい声が届いています。

医療従事者（グラリヤ自治体Khairapur診療所）

グラリヤ自治体の人口はとても多く、必要な医薬品や機器が不足することがよくあります。物資の提供を自治体に繰り返し要請したにもかかわらず、調達プロセスに時間がかかります。2週間にわたって在庫がなく、この栄養を必要とする多くの母親にIFAサプリメントを渡せなかったことが、医療従事者として非常に残念で、恥ずかしい思いでした。今回、3カ月分のIFAサプリメントを安定的に確保できたことで、とても有難いと思っています。ADRAがこの活動を通じて迅速に対応し、行動してくださったおかげで、大きな変化をもたらすことができました。

IFAサプリメントを受け取った女性（バンスガディ自治体）

産後にIFAサプリメントを摂取することが大切であることは知っていましたが、私が訪れた医療機関ではどこにも在庫がないと聞きました。近くの薬屋にて2週間分を購入しましたが、この費用はとても高かったです。政府の医療機関から無料でIFAサプリメントを受け取ることができて、本当にホッとしました。このサービスがどんなに重要かを実感したのは、今回のことがあったからです。

今回、IFAサプリメントの配付により、バルディヤ郡の女性のもとへ必要な栄養を届けることができました。このように、現地の状況に合わせて必要な支援を届けていくことができるのも、皆さまの温かいご理解と応援のおかげです。

ネパール事業では、今後も引き続き、地域の方々に寄り添った活動を続けてまいります。
皆さんのあたたかなご支援に、心より感謝申し上げます。