2人に1人が食糧難のイエメンで人間の尊厳を守るために

ADRAは1995年からイエメンで活動しており、当地の方々が直面する課題に対し、一人ひとりに寄り添う支援に取り組んできました。

常に人間の尊厳を守り、少しでも暮らしに快活さを得られるように努めています。

2015年3月から空爆が続いているイエメンでは、2022年末現在、国民の68%にあたる2160万人が何らかの支援を必要としている状態に陥っています(※1)。

イエメンは、2022年の世界飢餓指数が世界で一番高く、2人に1人は生きていくのに十分な食料を確保できていません(※2)。

また、1730万人が、食料や農業関連の支援を必要としています。

紛争の被害に遭い、それまで積み重ねてきた仕事を捨て、難民・避難民とならざるを得なかった人も数知れません。

※1 https://reliefweb.int/report/yemen/yemen-humanitarian-needs-overview-2023-december-2022-enar
※2 https://docs.wfp.org/api/documents/WFP-0000145725/download/

ADRA Japanは、皆さまからの温かいご支援のもと、これまでに6度、人間の生存に関わる食料、栄養、水、衛生等の分野での緊急支援に取り組んできました。

具体的には小麦、米、豆、缶詰、水、歯ブラシ、シャンプー、石鹸、生理用品など、生活を支えるための物資の配付や、生計回復につながるよう、農家の方には種や肥料を、家畜を失った方にはヤギなどの動物を、大工だった方には工具を、雑貨屋を営んでいた方には資金や商品を提供してきました。

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(2022年11月にラヘジュにて聞き取り調査をした時の一枚)

しかしながら、戦火はなかなか収まりません。

住民はあいかわらず苦しみ、心身ともに疲れきっています。

そこでADRA Japanは、2022年9月より7度目の支援としてイエメン国民の生計回復を目指した活動を開始しています。

戦火を逃れるために、暮らしを奪われた方々が、かつてやられていた仕事を再構築していただく━━つまり「生きる力を呼び起こす」ための活動です。

今、外務省の規定により、10年以上、日本人はイエメンに入国できません。

ですから、周辺国のレバノンでイエメンの現地スタッフと面会して調査を重ねたり、インターネットを活用したりして最新の状況を把握してきました。

届けられる支援に対して、最優先と判断した80世帯の方に対して、灌漑用水を復旧させるサポートを決めました。

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(2022年10月、アブヤンでの農家の方に現在の状況を聞く)

この取り組みではまずは、深井戸を修繕し、ディーゼルポンプで水をくみ上げられるようにします。

そして、その水をホースで畑に送り、作物の根本に給水できる特殊ホースを取り付けていきます。

水を節約しながら、畑を復活させることができる方法です。

現地スタッフとやりとりしているADRA Japanのイエメン事業担当の小出は言います。

「中東というと、オイルマネーの印象がどうしても強いのですが、現地の方と付き合い、ビデオやネットを通じて目にするイエメンの農民の表情からは、誠実さや実直さが伝わってきます。」

もともとイエメンは中東有数の農業国で、キビ、ソルガム、トウモロコシ、ゴマ、落花生、トマト、ニンジン、オクラなどが作れる地です。

7年におよぶ紛争によって、それらを失い、食料難が深刻化しています。

今、可能なかぎり農業の復活を図り、かつての生活に近づくことで、多少なりともイエメンの方々に笑顔が戻れば……。

そんな思いでADRAは動いています。

この活動は、皆さまからご支援と(特活)ジャパン・プラットフォームからの助成を受けて取り組んでいます。温かいご支援に、心より感謝申し上げます。

(文責:広報担当 永井温子)

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