アンデス山脈に住む弱い立場の人々が、寒さから逃れられるよう、暖かい家にリフォームする活動をしています

ADRAは世界120か国に支部を持つ、世界最大規模のNGOです。今回はADRAのペルーにおける活動、「ウォーム・ホームズ・プロジェクト(暖かい家にリフォームする活動)」をご紹介します。

この活動はここ数年ADRA Peru(ペルー支部)が、クスコ南部のアンデス山脈に囲まれたコミュニティを支援してきた活動のひとつです。

この活動では、限られた資源と過酷な環境に向き合う地域の方々と協力し、経済的に最も弱い立場にある家族がこの活動の中心となるように取り組んでいます。そして、彼らが希望と繁栄に満ちた未来を手にし、困難を乗り越えることが出来るように、努めています。

この地域は海抜3,800メートルで、最低気温はマイナス20度まで下がることがあります。住民たちは先住民族の言語であるケチュア語と、スペイン語を話し、ジャガイモと雑穀の一つであるキヌアの栽培に重点を置いた農業が生活基盤となっています。

この地域は、多くの面において支援を必要としています。

保健衛生の面では、この地域の標高の高さに加えて、頻繁に雨、雪、暴風にも見舞われるため、寒さが人々の健康を脅かしています。彼らは家畜の糞を燃料にしますが、火が燃え上がると煙が家に充満し、慢性的な呼吸器疾患を引き起こしています。また、衛生上の観点から清潔なトイレ、温かいシャワー、水も必要です。

教育面では、子どもたちが勉強や宿題をするための明かりを確保するための電気を必要としています。

生計の面でも、極度の寒さの影響による慢性的なエサ不足で、財産である家畜が多く死んでしまうことがあります。南米産のアルパカは、その羊毛が工芸品に使われるため、家畜はコミュニティの生活には欠かせない経済基盤になっています。そのため、動物の死は彼らの収入源に大きな影響をもたらします。

そして、この地に建てられた家は、多くがレンガや石の壁で、屋根はトタンや茅葺で造られ、室内を暖かく保つことができないため、暖をとるための蓄熱と保温効果が高い住居が必要です。

そこでADRAは、「ウォーム・ホームズ・プロジェクト(暖かい家にリフォームする活動)」を住民と協働で開始しました。

まず、レンガと茅葺き屋根で建てられた家にソーラーパネルを設置し、家の中で電球による明かりを取り入れることで、仕事や学業にいそしむことができるよう、生活環境を改善しました。

壁にも太陽熱を吸収できる蓄熱材をはり、彼らが暮らす住居の室温を10度にまで上昇させることができました。さらに室内の熱を逃がさず、衛生面を向上させようと、木の床、気密性の高い天井、二重扉を設置し、煙突付きのエコストーブを設置しました。

太陽の熱を吸収できるように蓄熱材を設置
木の床を設置
ビニールシートをつけることで、気密性を高める
二重の扉は、室内の温度を保ちやすい

今後は、トイレ、流し台、温水シャワーを設置し、住民の衛生状態と排泄物処理の改善、慢性的な下痢問題を軽減し、衛生面の改善も目指します。

ガラスをはめることで、室内に光が入るように配慮された家

支援を受けたフロレンシオ・トゥンクさんは言います。

「私は今まで8枚から10枚の毛布を掛けて寝ていました。それほど寒かったのです。この暖かい家になってからは、中が暖かいので3、4枚の毛布で寝れるようになりました」

フロレンシオ・トゥンクさん

また、ある住民は住環境の改善により、アルパカなど家畜の世話に力を注ぎ生計向上に希望が持てた、と満面の笑みを浮かべ話してくれました。

ADRA にとって、暖かい家は単なる寒さからの避難ではありません。

この家は、ここで生活を営み、支援を必要としている弱い立場にある方々にとっての、希望、安心、より良い生活のシンボルなのです。

ADRAでは今後も支援を必要としている方々に寄り添い、必要な支援を届けてまいります。

引き続き、皆さまの温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。

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