
2025年4月19日・20日、ADRA Japanは代々木公園で催されたアースデイ東京2025に参加しました。出展を記念して、事業部スタッフが日頃携わっている事業を環境やサステイナビリティの視点から紹介します。
アフガニスタンは久しく、深刻な人道危機に直面してきた。長年に渡る紛争や経済制裁に加え、気候変動によって頻発する自然災害も見逃せない。過去3年間、洪水や干ばつなどの災害は、紛争を追い越して、避難民が生じる主要な原因となっており、悲惨な人道危機を悪化させている。

2024年5月にバグラン県、バダフシャン県、ゴール県で発生した鉄砲水では、350人近くの命が奪われ、7,800棟以上が被害を受け、5,000世帯以上が住居を失った。地震の多いアフガニスタンでは鉄砲水や洪水が増えれば、相まって地震被災者の被害度も大きくなる。
一方、山間部では干ばつや水不足がたびたび発生し、農家は灌漑用水を確保できない状況が続いている。自給自足農業のような気候変動の影響を受けやすい生業は、アフガニスタンの雇用の73%を占めている。生計を農業や家畜に頼っている人々の生活は深刻だ。
アフガニスタンのChildren’s Climate and Environment Risk Index -日本語名:子どもの気候危機指数- (CCRI)(2021)は世界163か国中15位。当地の子どもたちは気候変動によるショックやストレスに他国以上にさらされる危険があると言える。
気候変動の影響を受けるのは、往々にして脆弱な立場に置かれている人たちだ。

中村哲医師が、アフガニスタンの深刻な干ばつにより砂漠化した大地に、クナール川から全長25kmのマルワリード用水路を7年の歳月をかけて完成させたことをご存知の方も多いだろう。一面砂漠だった大地が、用水路を中心として緑に覆われた姿は圧巻だ。2019年に銃撃されて亡くなった中村哲さんの遺志を受け継ぐNGOの支援で、潅漑用の新たな用水路も完成している。
しかし、砂漠化した大地すべてに用水路を導入していくことは途方もない作業だ。
私たち一人ひとりが干ばつ・砂漠化を食い止め、自然災害の頻発を抑制するためにも、改めて自分事として、気候変動を防ぐためにどう行動していくかが問われる。
(文責:堀 真希子)