スイスのジュネーブで開催された「世界難民フォーラム」に参加しました

ADRAは、12月13日から12月15日にかけて、スイスのジュネーブで開催された2023年世界難民フォーラムに参加しました。

世界難民フォーラムは、国際会議として4 年ごとに開催され、国家、国際機関、難民、市民社会、信仰に基づく組織、学界、民間部門のスタッフが集まります。

同フォーラムは、国境を越えて難民の方々を支えることを目的とし、2018年12月に国連総会で承認されました。

今回、ADRAからは、本部2名、ADRAヨーロッパ事務所1名、そしてADRA Thailand(タイ支部)、ADRA Italy(イタリア支部)、ADRA Japanからそれぞれ1名が出席し、各国の政府、活動家、国際機関の方々と共に、難民となった方々の生活を改善するための行動や解決策、取り組みについて話し合いました。

現在、世界では約1億1,400万人が戦争や政治危機の影響を受け、避難を余儀なくされています。

彼らが故郷を追われているのか、難民キャンプで生活しているのか、ホストコミュニティに長期間滞在しているかには関わらず、現実として、様々な障壁が立ちはだかっていることを見逃してはなりません。

3,500人の各組織の代表者は2023年世界難民フォーラムに出席し、世界情勢を把握しながら、難民の方々が直面する課題について議論し、今後の4年間で彼らの生活を向上させるために何ができるかを検討しました。

UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)によれば、現在、世界中の紛争、迫害、自然災害により、約 9,000 万人の方が家を失い、祖国からの避難を余儀なくされており、41パーセントは18歳以下の子どもとのことです。

ADRAは、レバノン、南スーダン、エチオピア、ケニア、ウガンダ、コロンビア、ブラジル、タイなどの国々で難民を支援した実務と経験に基づき、信仰に基づく取り組み、難民への支援活動、気候変動が難民や移民に与える影響などに関する、各種セッションにて発言しました。

ヨーロッパにある 30 か所の ADRA 事務所のほぼすべてが、難民支援を目的とした活動に携わり、難民キャンプの運営管理、教育、保護、医療、心理社会的サポートや基本的なニーズの提供においては、現地のNGOなどのパートナーと協力関係を結んでいます。

ADRA は、危機に直面している人々を支援する際には「思いやり、正義、愛」を体現し活動に取り組んでいます。

祖国を離れ避難している人々の最大の願いは、故郷に戻り、安全で尊厳のある生活を送ることです。私たちはその思いを忘れることなく支援しています。

今回の世界難民フォーラムでは、難民の方々や、その難民を受け入れる国々が直面している保護、教育、雇用、医療、心のケア、帰還や気候変動による自然災害などのテーマごとにパネルセッションも開催されました。

これらのセッションへの参加を通し、難民の方々が直面している多くの問題について改めて考える事の重要性を理解しました。これらの課題解決に取り組むためには、より世界が連携し資金面や技術面でのサポートの強化を図る必要があります。

今回のフォーラムに参加したADRA Japanスタッフは次の点に課題が残されていると述べています。

1.難民となっている人々の、85から90パーセントが、既に様々な問題を抱えた発展途上国で暮らしている。

2.難民を受け入れ国では、気候変動により干ばつ、洪水、砂漠化、食糧難が悪化し、そこで暮らす難民の生活環境・状況が更に悪化している。

3.日本を始め世界では、平時から、国づくり、安定した社会づくり、紛争の根本原因への対処と抜本的な強化など、予防の概念を含む平和の持続など人道支援、開発支援に加え、気候変動問題にも取組む必要がある。

4.脆弱な国々が気候変動適応策への資金力が不足している。

5.現在、干ばつや水害などの気候変動による影響への対応に追われ、予防策への投資ができないため、その場しのぎの対策しかできていない。

6.難民を大事な人材に成りうるという意識改革を国家が持ち、国家の教育システムを提供し、言語に対するサポートなど補助的支援にも注力する必要がある。

ADRA国連連絡事務所所長は次の通り結んでいます。

「世界中でますます多くの国、多くの人々が、国境を越えた避難を必要としており、さまざまな困難に適応していく必要があります。難民問題の解決は私たち一人ひとりの行動から始まります。誰もが課題解決のために果たすべき役割を担っていると思います」

ADRAは、常に現地のニーズに基づいた支援活動の提供と世界各地において、著しく損なわれている人間としての尊厳の回復と維持を目指しています。

難民となった人々の状況が、少しでも改善されることを願って止みません。

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