政治・経済の混乱、そして干ばつの中、アフガニスタンで起きた大地震。一年の中で食料の入手が最も難しい時期に食料支援を実施。

アフガニスタンでは、タリバン暫定政権発足後の政治・経済の混乱や干ばつ等により、全土において人道的危機が生じています。

人口約4,000万人のうち、約97% が1日あたり1.9 ドル未満で生活しており、国民の半数以上が人道支援に頼らざるえない状態が続いています。そのような中、2022年6月22日、アフガニスタン南東部でマグニチュード5.9の地震が発生しました。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、地震で36.2万人が被災したと推定され、死者数は1,150人以上、重傷者数は2,000人強に上りました。

発災直後、ADRAは被害が最も大きかった地域の一つであるパクティカ県ガヤン地区で調査を実施しました。

調査では、総人口約47,800人のガヤン地区の44%(約21,000人)が地震による家屋破損や破壊といった深刻な影響を受けていることがわかりました。

特に被害を受けたガヤン地区中心部では、死者295人、負傷者1,800人、全壊家屋600棟、深刻な被害を受けた家屋2,500棟が確認され、その数は地域における家屋の70%を占めていました。

倒壊した家屋のほとんどは泥レンガで建てられた家のため耐震性が低く、被災家屋の多くは修復不可能な状態でした。

このような状況に加え、ガヤン地区は元々道路アクセスが悪く、現地行政は過去に人道支援を受けた経験がほとんどないことから、被災者への支援がなかなか届かない状態でした。

また、食料確保の見通しと人々の栄養状態はかなり深刻でした。地震の前から干ばつの影響で農作物の生産量は減少しており、地震の発生に関わらず、食料の備蓄がほぼ尽きていた家庭がほとんどでした。

さらに地震によって生計手段を失った家庭が数千世帯に上っており、それらの家庭においては食料を自力で入手できる可能性がほとんどありませんでした。

そこでADRAは、パクティカ県ガヤン地区で最も脆弱な被災世帯952世帯(約6,700人)に食料配付を実施しました。

これはガヤン地区の被災者全体の32%の方々に支援を届けたことになります。

食料の内容は、各支援団体が集まった食料安全保障の会議で決定された基準に則ったもので、1世帯あたり小麦粉200 kg、植物油20 L、豆類20 kg、塩2 kg(2,100 kcal/人/日×2か月分に相当)になります。

食料配付にあたっては、事前に食料取り扱い業者の倉庫を訪問して、梱包状態や品質等を確認し、配付する食料が一定の質を保つよう心掛けました。

他の支援団体の活動も入らない中、1年の中でも食料の入手が最も難しい冬季(1-2月)に実施した食料配付であったため、支援を受け取った方々からは

「雪が降る冬の季節は食料の調達も難しく、そのような時期に食料を配ってくれたのは、助かりました」

「配られた食料の品質もよく、満足でした」など、感謝の声が多く聞かれました。

地震発生から1年が経った今でも、現地では簡易テントでの生活を余儀なくされている人々が多くいます。

アフガニスタンの方々の生活は困難を極めていますが、日本の皆さまから寄せられる温かいご支援は、大きな心の支えにもなります。

ADRAでは引き続き状況を見守り、現地の人々に寄り添った活動をしていきます。

今後とも皆さまからの温かいご支援を何卒よろしくお願いいたします。

(執筆:アフガニスタン事業担当 堀 真希子)

*アフガニスタンにおける活動はジャパン・プラットフォームによる助成金と支援者の皆様からの寄付金で実施しています。

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