ペルー / 母子栄養改善事業

活動の背景

子どもたちの深刻な栄養不足

ペルーでは経済的理由だけでなく食生活に対する知識不足が原因で、健康に配慮した食事を取ることができていません。

そのため、栄養失調またはそれに起因する貧血が社会問題となっています。それらの問題は乳幼児にとって大きなリスクとなり、疫病や死亡が懸念されます。

Peru Nutrition Improvement

学習にも影響・・・

また、栄養失調は学習意欲の低下も引き起こします。そのため栄養改善への取り組みは、未来を担う子供たちへの貴重な投資となります。

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栄養失調に陥る様々な要因

今回事業対象地とする地区では、家庭での知識のない子育て、疾病の繰り返し、医療サービスへのアクセスの不足、低収入、食品購買の低さなど多くの要因が重なり、子どもたちの栄養失調の問題が国内の他の地区よりも顕著です。

以上の状況をふまえてADRA は2008年よりこの地域で妊産婦、5歳以下の子どもを対象とした慢性栄養失調削減のためのプログラムを始めました。

行政も巻き込んだこの取り組みは、問題解決のために成果を生み出しています。本プログラムの効果をより高めていくため、また、事業終了後も現地の人々が活動を継続して行っていく「持続性」を高めるために、今回新たな事業を実施します。

(2011.07.03更新)

2012年度‐2013年度 リマ州リマ郡スラムに居住する母親に対する食育事業

事業概要

現状をふまえてADRA Japanでは、低所得層世帯が多く住む地域で、食事づくりを担う地域の食堂スタッフや、母親や学校教師などに栄養教育を行うコミュニティプロモーターを対象に、栄養の大切さや知識を理解してもらうための研修を実施します。子どもたちの貧血削減を目指すと同時に、家族の栄養改善や、細菌感染への抵抗力の向上も期待されます。

事業対象地 :リマ県リマ市プエンテ・ピエドラ区ラデラス・デ・チジョン

対象者:女性リーダー:60名、母親:240名、小学生と就学前の子どもの保護者:100名

事業の目標

本事業は対象地域に於ける5歳から12歳までの小児貧血削減に貢献することを目的とします。

具体的な目標は以下の3点です。

炊き出しを行なっている60人の女性リーダーが、バランスのとれた栄養摂取の重要性を理解し、栄養バランスの良い健康的な食事を準備することが出来るようになること。

地域の240人の母親が、バランスのとれた栄養摂取の重要性を理解し、子どもに健康的な食事を準備することが出来るようになること。

小学校及び就学前教育での活動を通し、教師および保護者100人が、子どもの栄養管理に関して意識が高められ、知識を獲得すること。
*本事業は、味の素「食と健康」国際協力プログラムにより助成頂いています。

事業内容

・「栄養改善」をテーマとした研修の実施(栄養摂取、栄養管理、健康への配慮を主なテーマとします)
・現地指導者の育成
・地域を巻き込んだコミュニティー全体での啓発活動(「健康と栄養に関するキャンペーン」を

実施することで持続可能性を高めます)
・専門スタッフの戸別訪問による、モニタリング・相談会の実施
・経済的かつ栄養価の高い食事のアイディアコンテストの開催
・地域の小学校での保護者・教師を対象とした食育研修・ワークショップの実施

以上の活動によって、対象者自身が研修や家庭での実践を通して学んでゆくことにより、自立発展性を確保します。

(2012.04.18更新)

2011年度 リマ州ウアロリチ郡ペルー家庭菜園を通した小児貧血削減に対する栄養バランス改善事業

事業概要

事業対象地の状況をふまえて、ADRA Peru(ペルー支部) は2008年よりこの地域で妊産婦、5歳以下の子どもを対象とした慢性栄養失調削減のためのプログラムを始めました。行政も巻き込んだこの取り組みは、問 題解決のために成果を生み出しています。

本プログラムの効果をより高めていくため、また、事業終了後も現地の人々が活動を継続して行っていく「持続性」を 高めるために、今回ADRA JapanとADRA Peruとが協働し、新たな事業を実施します。家庭菜園を通して母親への食育を行い、小児貧血削減へむけて栄養バランス改善事業を行ないます。

事業対象地:リマ県ウアロチリ郡サンマテオ区、チクラ区、カランポマ地区

対象者:5歳以下の子どもを持つ対象地域の家庭250世帯(約1,250人)

事業の目標

本事業は5歳以下の小児貧血の削減への貢献を目的とします。
具体的な目標は以下の2点です。

1.5歳以下の子どもを持つ家庭において栄養摂取、子どもの扱い、健康への配慮に関しての行動が改善される。
1)生後4ヶ月から6ヶ月の乳児の全母乳率を85%以上にする。
2)生後6ヶ月から11ヶ月の乳児の60%以上が月齢に対し適切な回数の食事を摂取する。
3)50%以上の家庭で手洗いの習慣づけをする。
2.それらの家庭において、食物の生産・保存・加工を通し、バランスの取れた栄養摂取を可能にする
1)100%の母親が家庭菜園を行う。
2)25%の母親が多様な方法で栽培した野菜の保存を行なう。
3)50%の母親が定期的に家族の食事作りに野菜を利用する。

Peru Nutrition Improvement
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*本事業は、味の素「食と健康」国際協力プログラムおよび地球市民財団助成プログラムにより助成頂きました。

事業内容

本事業では以下の活動を行ないます。

  •  以上の活動によって、対象者自身がワークショップや家庭での実践を通して学んでゆくことにより、自立発展性を確保します。
  • 栄養と保健の改善、啓発のためのワークショップ(栄養摂取、子どもの扱い、健康への配慮を主なテーマとします)
  • 現地指導者の育成
  • 地域を巻き込んだコミュニティー全体での啓発活動(「健康と栄養に関するキャンペーン」を実施することで持続可能性を高めます)
  • 専門スタッフの戸別訪問による、ファミリーカウンセリングの実施
  • 栄養バランス改善のため、家庭菜園での食物の生産からそれらの食物の保存法、多様な加工法などに関する教育
  • 食育イベントの開催

事業報告

2009年にADRA Peruが事業開始時に行った調査と比べ、本事業終了時には、当初87.6%であった5歳以下の子供の貧血率が66.7%まで削減することができました。短期間ではありますが、子どもの貧血削減に対し、一定の成果を上げることができたと言えるでしょう。

ワークショップ・研修の様子。演習を通じて実際に調理をしながら学んでいきます。
家庭菜園の様子家庭菜園の様子
台所改善活動手洗いコーナーの設置
イベントに集まった子どもたち

詳細な報告はコチラから

(2012.04.18更新)

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