昨年夏よりジンバブエで感染が広がり、4,000人を超える死者を出した感染症、コレラ。その拡大防止と予防のために行なったコレラ被災者支援事業が8月に完了いたしました。
この事業では、学校の手洗い場設置のために砂、石、レンガなどを運ぶなど、子ども達もお手伝いに参加してくれました。事業終了後は、深井戸を掘った近辺に住民が菜園を作り始めたり、家畜に深井戸を壊されないように自分たちで柵を設けたりと、住民がただ受け身になるのではなく、その受けた支援をさらに自分たちの生活を良くするために活用するという、村人たちの意欲を感じたすばらしい事業でした。
この事業がみなさまのご支援により無事完了いたしましたことを心より感謝申し上げます。
(事業の成果)
事業
設置数
裨益学校数
裨益者数
深井戸設置
6基
6校
約3,400人
手洗い場設置
13基
13校
約5,000人
各学校の教師・村人代表による児童への感染症・衛生教育トレーナー育成
141人
トレーニングを受けた教師・村人代表による児童への感染症予防・衛生教育トレーニング
33校
約26,100人
清掃用具配布
33校
約26,100人
感謝の言葉
皆様には、受益者の方々からたくさんの感謝の言葉が届いています。
【ハンガイワ小学校】
*ハンガイワ小学校には深井戸の新規設置1基、手洗い場修繕1基の設置、感染症予防・衛生教育トレーニングの実施、清掃用具配布を行ないました。
≪ハンガイワ小学校校長 タアパノ・マランゲより…菜園にて≫
このすばらしい深井戸を学校に設置してくださった日本の支援者のみなさんに感謝します。この安全な水を飲むことによって、コレラから自分たちを守ることができます。また、深井戸の水量が十分あるので、いろいろな野菜を育てるために小さな菜園を小学校内に作りました。この菜園は私たちの学校を経済的に豊かに発展させることでしょう。
≪ハンガイワ小学校児童 ピーター・リヴァーより…深井戸にて≫
私はジャパン・プラットフォーム、ADRA Japan、そして日本のみなさんがジンバブエのために深井戸を設置してくださったことを本当に感謝しています。この深井戸からでてくる水はとても澄んでいるので、飲み水や調理、菜園の水などのために使っています。以前は3、4キロ歩いて水を汲みにいかなければいけませんでしたが、今では学校に井戸があるためその必要はなくなりました。日本の皆さん本当にありがとう!
≪ハンガイワ小学校児童 マイティー・ファニシスより…深井戸にて≫
日本の皆さん、きれいに澄んだ水をありがとうございます。そして、手洗い場も設置してくださりありがとうございます。私はこのきれいな水によってトイレの後や食事の前に手を洗うことができます。
≪ハンガイワ小学校児童 タロ・マゴンベより…深井戸にて≫
ジャパン・プラットフォーム、ADRA Japan、そして日本のみなさん、ハンガイワ小学校に深井戸を設置してくださり本当にありがとうございます。このきれいに澄んだ水は飲み水、調理、手洗いなどに使えるため、いま流行っているコレラから身を守ることができます。本当にありがとうございます。
【ニャマジラ小学校】
*ニャマジラ小学校では現存している深井戸の修繕1基(小学校内の貯水タンクの新規設置1基も含む)、手洗い場新規設置1基、感染症予防・衛生教育トレーニングの実施、清掃用具配布を行ないました。
≪ニャマジラ小学校児童より…小学校用貯水タンク下にて≫
日本の皆さんこのきれいに澄んだ水をありがとう!(日本語で)アリガトウゴザイマス!
また、ニャマジラ小学校の児童たちは感謝の歌も歌ってくれました(上写真)。
≪♪この深井戸を設置してくれた人は誰? 日本の人たちだよ!♪≫
≪♪この深井戸を設置してくれた人は誰? 日本の人たちだよ!♪≫
≪ニャマジラ小学校教師 ヨセフより…貯水タンクを背景にて≫
学校は前の状態より飛躍的に良くなりました。いま、私たちの学校はきれいに澄んだ水を使えるため、食事の前やトイレ後に手を洗うことができます。子どもたちは家からお弁当をもって学校へ来ますが、汚い手のままで食事をしていました。手を洗える水がなかったからです。しかし、いまは深井戸からきれいに澄んだ水を使って手を洗うことができます。
私はこの学校の生徒も教師も、いまはコレラから身を守ることができるようになったと確信しています。深井戸が設置される前までは約1km離れているところから水を汲んできていました。しかし、その深井戸もポンプが劣化しているため、水を汲むということは非常に骨の折れる仕事でした。今は蛇口をひねればきれいに澄んだ水がでてきます(*注)。わざわざ水運びをする必要がなくなったのです。子どもたちはいつでも自分たちが水を飲みたい時に好きなだけ水を飲めるのです。深井戸が修繕される前までは浅井戸の水を汲んで学校に来る子どももいましたが、コレラなどの感染症にかかる可能性があるため安全な水とは呼べませんでした。しかし、いま彼らには深井戸の安全な水を飲むように教えることができます。
私は、なんとかジンバブエを助けようとこのような素晴らしい支援をしてくださった日本の皆さんとADRAの人たちに感謝しています。私たちはとても貧しいのでいつも誰かの助けを必要としています。あなた方の働きがなければ、ジンバブエ全土に広がったコレラによって苦しんでいたことでしょう。しかし、いま私たちはコレラから身を守ることができます。本当にありがとうございます。みなさんに神様からの祝福があることを願っています。
*注:ニャマジラ小学校の深井戸はモーター式で、タンクに水が汲み上げられ、学校や村の各家庭の蛇口につながっています。
<今後のジンバブエでの活動予定>
2009年7月30日、ジンバブエ政府によってコレラの流行は終わったと宣言されました。しかしコレラは水を通して感染が広がりやすい為、11月頃から始まる雨季にまたコレラが流行するのではないかと政府や国連、NGOの間では懸念されています。ジンバブエの人々への支援はまだまだ必要です。今回、支援を行なった周辺地域にはまだ深井戸やトイレ、手洗い場がない学校がたくさんあります。そのため今後、多くの人が感染症で命を失うことがないよう、ADRA Japanは引き続きパートナー団体と共に支援活動を続けていく予定です。引き続きご支援のほどよろしくお願い致します。
≪左から、今回事業をおこなったドライバー、ADRA Japan現地駐在員、マコニ地区事業オフィサー≫
(2009.08.26更新)