NPO法人 アドラ・ジャパン ADRA Japan
South Sudan Rebuilding Livelihoods of Returnees
南スーダン / 帰還民生活再建支援事業

3. 生活再建支援事業

HIV/AIDS啓発

事業の目的:

川沿いに位置するナシール地域は、様々な地域から帰ってきた難民や国内避難民に加え、エチオピア人やアラブ人の商人なども居住しており、こうした人の移動の多い地域ではHIV/AIDSの感染や拡大が大きな課題です。HIV/AIDSやSTD(性感染症)に対する知識がない住民の理解を深め、感染予防について知ってもらうために、啓発活動を実施しています。

事業の内容:

地域住民の多くは川の水を生活用水として使用しており、下痢やコレラなどの感染症で苦しむ人も後を絶ちません。こうした地域における人口増加に伴い、様々な感染症の蔓延が懸念されています。特に帰還民の多い地域におけるHIV感染予防は緊急の課題です。ナシールでは、医療系援助団体がプライマリーヘルスケアや保健師の育成活動を展開していますが、ADRAは、HIV/AIDSやSTDに対する知識がない住民に対して、理解を深めることや感染を予防するための啓発を行っていきます。治療薬を手に入れることや継続的に治療をすることが困難な環境であるため、感染予防を呼びかけることが重要です。

HIV/AIDSのようなセンシティブな内容は、文化的にも受け入れられることが困難であるため、小学校の先生が小学校高学年の生徒を対象に啓発活動を展開することになり、ナシール郡及びウラン郡の小学校の教師に対し、ナシールの一時滞在センターを活用してHIV/AIDS啓発トレーニングを実施しました。また、地域で活動する現地NGOの保健師や郡の保健師に対しても同様のトレーニングを実施しました。これからはトレーニングを受けた参加者たちが地元の学校や病院で知識を広めていきます。

2011年度は、UNICEF(国連児童基金)及び保健省の協力で、VCT (Voluntary Counseling and Testing)センターを立ち上げる予定です。VCTとは、自分のHIV/AIDSのステータス(感染の有無)を自発的に知りたい人が、HIV/AIDSについて正しく理解し、自分のステータスを検査し、その結果を受け止めるのに必要なサービスのことです。これまでナシール周辺において啓発活動を行なってきましたが、ナシールの一般住民が利用できるVCTはありませんでした。
そこで、ADRAが行なっている予防・啓発活動の一環として、VCTサービスを提供し、人々が自発的に検査をし、感染拡大を防ぎ予防活動が促進されることを目指していきます。ナシールには、国境なき医師団が運営している病院があり、検査の結果陽性と診断される人については、同病院へ照会します。

 

2009年度の事業の成果:

21人の保健師、26人の小学校教師にそれぞれ2週間、1週間のHIV/AIDSトレーニングを実施しました。トレーニングを受けた人が診療所や教会、学校等で啓発活動を展開し、35000人以上の住民が啓発セッションに参加しました。また、ADRAスタッフが放牧キャンプや診療所、村を訪問し、およそ1700人の地域住民にHIV/AIDSについての知識を広めることができました。AIDSは魔術によって感染するものであるとか、感染した人は死ぬしかないと思い込んでいる人がいるような中、少しずつではありますが正しい知識や予防策について知ってもらうきっかけになりました。

 

2010年度の事業の成果:

20人の保健師、78人の小学校教師にトレーニングを行う他、昨年度トレーニングを受けた保健師への復習のためのリフレッシャートレーニングを行いました。また、資料やDVD等を閲覧できるリソースセンター、コミュニティー、放牧キャンプなどにおいて9000人以上の住民が啓発に参加しました。世界エイズデーのイベントでは地元の若者たちも加わりナシール村の中で啓発を行うためのエイズウォークや予防に関する劇を演じました。

 

受益者からのメッセージ:

ジェームズ・ユアル・チャンさん(James Yual Chang)、ウラン郡コプオット小学校教師

「私は、ADRAによる1週間のトレーニングを修了し、子どもたちに対してHIV/AIDSについて教え始めました。学校の生徒や教会に礼拝にやってくる子どもたち、また村落で定期的に行われるミーティング等でも小さなグループを作って啓発活動を実施しています。」

 

 

 

2011.8.16更新
<<前へ  次へ>>

リンクと著作権について / 個人情報保護について