首都カトマンズから車で1時間ほどのところにあるカブレ郡では、ADRAが過去20年にわたって様々な事業を行なってきました。ADRA Japanが毎年11月に実施している口唇口蓋裂医療チーム派遣事業は、カブレ郡のバネパ市にあるシーア記念病院の協力を得ています。
学生たちはこの病院でネパール人看護師が行なうケアの見学をしました。訪問したのが雨期だったため、内科病棟には下痢や発熱が多く入院していました。また外科病棟には、木の実を取ろうとして木や崖から落ちて骨折した患者さんや、蜂窩織炎を起こした患者さんが治療を受けていました。
痛みをこらえながら処置を受ける患者さんの様子を見て、日本とはかなり異なるケアの方法に学生たちは大きな衝撃を受けたようでした。
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病棟で蜂窩織炎の患者さんのケアを見学 |
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バネパ市の近郊では、人や家畜の排泄物からメタンガスを産出することのできるバイオガスプラントを導入した家庭を訪問しました。近年、ネパールの都市部では調理用のプロパンガスを導入する家庭も増えてきていますが、プロパンは一ヶ月半ほどで使い切ってしまう上、高額でもあります。一方、このバイオガスプラントの場合、原料である排泄物はいつでも手に入るため、恒久的にガスを利用することができます。
見学の最後には、バイオガスを使って沸かしたお湯でチヤ(ネパール風のお茶)を出してくれました。お茶を飲みながら、学校で英語を勉強しているという娘さんと話をし、ほっと一息つくことができました。
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家の娘さんと英語で会話 |
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ネパールの人々が日常的に利用できる医療サービスを理解するため、プライマリー・ヘルスケアセンターを訪れました。センターのスタッフは、周辺の医療機関に比べ設備の整っている生化学検査室や、結核の治療のために使われる専門施設などについて、丁寧に説明してくれました。診察室の様子も見学させてもらい、隣接する学校から受診しにきていた子ども達とも触れ合いました。
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診察の様子を見学 |
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また、地域医療を担う簡易保健所も訪問しました。ここでは、一定期間の研修を受けて投薬や診察、縫合などの処置を行なうことのできるヘルスワーカーから、一日の診療人数や来院する患者さんの傾向など、様々な話を伺いました。
2012/12/23更新