CLPPに参加して
インターン 米真由美
今でもふと、ボコボコのバスの天井で朝風に吹かれ、派手なクラクションを聞きながらSMHに通った光景、子供たちと中庭で遊びまわった光景が脳裏に浮かびます。
CLPPを振り返ってみると、私にとってCLPPは以下の3つの点からの出会いの場だったと思います。
まず何といっても患者さんとの出会いです。この出会いから、私はネパール人の貧しさと心の豊かさ温かさを同時に感じることができました。貧しさとは医療情報の貧しさです。患者さんに聞き取りを行ったところ、口唇口蓋裂が治療で治ることすら知らず、周りからいじめを受けていたという人が半数以上でした。日本では口唇口蓋裂は簡単に治せるという認識が当たり前なだけに、実際にいじめを受けた過去を声を詰まらせながら話す患者の父親を目の当たりにした時はショックでした。一方で、患者さんの日本人医療チームに対する感謝はとても温かいものでした。自分が遠方から来たことを話して感謝の心を伝える患者の父親や、10年前に1度目の治療を受けにきたことがある患者さんが前回の自分の執刀医を見つけた時の喜びようなどを見て、この事業の意味を少し体感できたと感じました。
次に、日本人の医療関係者であるチームメンバーの方々との出会いです。私は今回初めて医療関係者の方々と触れあいました。そこで彼らのネパールの患者さんを救うための真摯な気持ち、医療者の立場から国際協力に携わろうという気持ちを強く感じ、心打たれました。
最後に、ADRAスタッフの方々との出会いです。CLPPには多くのスタッフの方も参加しておられ、私が将来目指したいと考えている国際協力関係者の仕事をわずかながら垣間見ることができたと思います。その中で、現地の人との交渉力、危機管理力、マネージメント力など学ぶものが多くありました。また、仕事はきっちりやる一方で、明るく楽しもうとする皆さんの姿勢にとても惹かれました。
CLPPに参加して良かったと心の底から感じています。このような貴重な機会を与えてくださったADRAスタッフのみなさん、本当にありがとうございました。
CLPP事業に参加して
学生ボランティア 池田安紀津
私がこの医療事業に参加したきっかけは、インターネットで偶然事業の看護士募集要項を見つけたことでした。以前から国際ボランティアに興味をもっていたものの、どのような形で具体化することができるのかがわからず悶々としていた時でもあり、見つけたときはすぐに電話をし、無理を承知で参加をお願いしたのでした。というのも、私は歯学部の学生であり、歯科とも関連性の強い口唇口蓋裂の医療事業というものに、強い関心をもったからです。
現地で私がした仕事とは、患者さんの写真撮影と、インタビューを取ること。患者さんの写真を撮ることは想像以上に大変で、口をあけるのを極度に嫌がる子が多かったように見受けられました。その外見から、周囲から冷たい目で見られたり、家族共々差別を受けたりしていることを幼いながらに感じ取っているのだろうか、そんな印象を受けました。また、患者本人やその家族へのインタビューを通じて、彼らがそれまで受けてきたいじめや差別の陰惨さには大きなショックを覚えました。「前世で悪いことをしたからこんな子供が生まれてきたのだ」「呪われているに違いない」無知による差別とは恐ろしく理不尽で残酷なものです。教育を受けることのできない村では、今なおこのような考えが蔓延っており、患者本人だけでなく、その家族までもが差別の対象となってきたのです。
日本から参加した医療チームには、リピーターの方が多くいらっしゃいます。金銭的にも仕事との兼ね合いを考える上でもかなり負担が大きいはずなのに、それだけの犠牲を払ってもなおこの事業に参加したいというその原動力とは一体どこからくるのか、その答えは治療を終えた子供達の笑顔の中に見つけることができたように思います。治療前にはどこかうつろな目をしていた患者さんが、治療を終えた後、まるで別人かのような表情でインタビューに応じてくれたのを見た時、人の表情がこの短い時間でこれほどまで変わるのかと非常に驚きました。この事業は患者さんの人生を大きく変えるのだ、そう強く感じた瞬間でもありました。
しかし、人生を変えたのは患者さん本人だけではないのです。今まで差別を受け続けた周りの親族の人生もこれから大きく変わることとなるでしょう。今回治療した患者さんの数は約40人。そしてそれが今回で13回目にもなり、その家族をも加えると、一体どれだけ多くの人生を変えたと言うのでしょう。
このような事業に関わることができて誇りに思うと同時に、この事業への参加を了承して下さったADRAの皆様、そしてこの事業に関わった全ての方に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。